ぐだぐだですが、書いてみました。
全然、仕事してないです、仕事が舞い込んでくるまでの話です。
うぃきさまとぐーぐるさまに手伝ってもらったけど、ぐだぐだです(笑)
イタリアの都市、ベニス。
背の高い建物が所狭しと立ち並び、
石造りのそれはどこか温かみのある景観を作り上げている。
その窓や橙の屋根、そして白い壁も、
思わず立ち止まってしまうような作りばかりで、
カメラを持つものなら誰でもレンズの中に納めたくなる美しさだ。
旅人であれば一度はこの都市に足を運びたくなるだろう。
しかし、その見惚れてしまうような街並み以上に、
人の心を引きつけるものはベニスの街にうねる大河「カナル・グランデ」。
都市に張り巡る幾筋もの水、
それは人間の体に流れる血管と同じように、今も昔もベニスを活気づかせ、
訪れる人々の胸をふるわせるものだ。
今日もベニス本島は水のせせらぎと賑やかな声に満ちあふれている。
ボートに乗り川縁で果物を売る男、買い出しの袋を右手に抱えた女、
仕立屋の亭主と話す男や、運河に割られた道の両端でかけっこをする子供。
しかしベニスの中にある小高いマンション、
その二階にある1LDKの一室でなんとも怠惰な言い合いが繰り広げられていた。
「喜助、コーヒー入れてくれるか?俺いま手ぇ離されへんねん」
平子はあちこち虫食いのような丸い穴の空いたソファにあぐらをかきながら、
キッチン周りでごそごそしている浦原に声をかけた。
平子のその手には銀色の筒とそれを手入れするための布が握られており、
ソファ近くに引き寄せられたテーブルの上には
黒い持ち手や細かな部品が丁寧に並べられてある。
これらすべてを組み合わせると、泣く子も黙るハンドガンのできあがりである。
浦原から返事がない、平子は銀筒を擦る手を止めた。
「おーい、聞いとるか~、コーヒー、コーヒーいれてーや」
「ちょっと待ってください、今、大事なとこなんスから」
二度目の願いは素気ない返事でたたき落とされた、
しかも浦原は背中を向けたままだ。
今にはじまったことではないが、
キッチンでスポイトやら試験管やらを弄くっているときの浦原は、
何を言っても聞く耳をもたない。
同居人として何とも悲しいことである。
「ええわ、もう、自分で入れるて」
言い争っても白旗をあげるのは平子だろうから早々に諦めて、
銀筒と布をテーブルにそっと置く。
するとキッチンの中でも洗い場にいる浦原が振り向いた。
「誰も淹れないなんて言ってないじゃないスか、
ちょっと待ってくださいって、あとちょっとなんで」
そうは言われても、すでに淹れる気になった平子はそのままダイニングと隣接したキッチンへ行く。
くすみきったフローリングに、昼間は明かりをつけなくてもいい位の大きな窓、
その中心に調理場も兼ねた箱状の収納テーブル、
壁際には洗い場があり、何枚かの皿と硝子のコップが立てかけられている、
男二人が暮らすには十分すぎるキッチンだ。
「俺は今、飲みたいねんて」
棚からコーヒー豆を取り出してミルをテーブルに置く。
所々へこんだ薬缶に火をかけてあとはマグカップだけだと洗い場に行った平子は、
洗い物の群れの中にその姿がないことに気付いた。
「あ?俺のマグカップ、ここ置いてなかったか?」
隣にいた浦原に尋ねると、その体がぎくりと止まる。
浦原は答えない、まさかと思ってその手元に視線を下ろしていって、
平子は見てしまった。
試験管にスポイト、並べられた小皿の中に
紛れ込んでいる自分のマグカップを。
「ちょお待てや、それ俺のマグカップやんけ、
しかもなんか緑色の液体入っとるし」
「だから、ちょっと待ってって…」
飲み物ではない液体を入れられている自分のマグカップの姿に平子が嘆くと、
浦原は目をそらしながらもごもごと言った。
「そういう意味やったんかい…しゃーない、かわりにお前のマグカップ…」
貸して、と言い終わる前に、自分のマグカップの隣に仲良く並んでいる浦原のマグカップに気付く。
度重なる事態に浦原はどこまでも自分にコーヒーを飲ませたくないのか、
そんな気さえしてきた。
「俺コーヒー飲まれへんやんけ、みょうちくりんな研究しよって…」
ついそうぼやいた平子の言葉に、聞き捨てならないと浦原の目の色が変わる。
「みょうちくりんってなんスか、これはちゃんとした仕事で使う新薬の開発っスよ?」
可愛げのない言葉に、コーヒーのお預けをくらった平子もかちんときた。
「新薬て、また嗅いだり触れたりしたら昇天するやつやろ?
充分みょうちくりんやんけ」
浦原が作る薬は、睡眠や麻痺といったものから即死に至らすほどのものまで、
殺傷性の高いものから低いものまで様々ある。
しかし平子には浦原が語る薬品の色合いの美しさだとか、
合理性だとかは全く理解できない。
男は黙って機関銃だろう。
しかし、そんな平子の神経を逆撫でする言葉を、次の瞬間、浦原が言った。
「あんな銃よりはよっぽど効率がいいと思うッスけどね、
大体銃って言うのは血は飛び散るし手間が掛かる、まず美学がない」
「なんやとっ?俺はお前がなんであのフォルムの美しさや、
発砲音の耳心地のよさがわからんのがさっぱりやな、
そんなもんばっか…」
そこまで言って、鼻を掠めたガス臭いような匂いに言葉を止める。
浦原も怪訝な顔をして平子を見た。
「なんか変な匂いせんか…?」
匂いのする方へ二人で顔を向けると、
洗い場に夫婦よろしく並んでいたマグカップが妙な音をたてて煙を燻らせていた。
「うわわっ、しま、失敗ッスっ」
「ど、どないすんねんっ、めっちゃ体に悪そうな匂いするでっ!?」
その後、マグカップの中身を捨てようと二人とも手を伸ばして中の液体が零れ、
それが違う薬品と混ざりかけるなど散々なことになった。
二人は薬品を拭き終えた布巾をダストボックスに捨てて、
はあと息を吐いてお互いを見合わせた。
浦原が穏やかな目をして平子を見つめる。
「すみません、僕がコーヒーを入れればよかった話なんスよね…」
これ以上なく柔らかい声で言われて、平子は思わず笑った。
たったコーヒー一杯で、よくここまで発展したものである。
「もうええて、お前が研究したらそればっかなるんは今さらやしな」
「あ、なんか酷いッスね、それ」
そう言いながらも浦原もくすりと笑った。
その時こんこんという音が鳴り響いた。
「夜一様の紹介であがりました、こちらに腕利きの殺し屋が居ると」
NAME!!=うみすぐる
MY LIKE 1or1!!
ルシフェル×イーノック
平子×浦原
LIKE!!=二次創作
はじめまして、日本産の腐女子です!
上記の言葉で
苦手だと思った方は、
ブラウザバックを推薦。
大丈夫な方は、どうぞ!
ブログサイトに移転しました。
主に近状やpixvで
アップしたイラストを
載せていきますので、
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